| オクラホマ・シティ・アルフレッド・P・マラー連邦ビル爆破事件は、ミリシャ(militia)をつぶすために仕組まれたもの。犯人とされたマクヴェイもニコラスも、ミリシャに所属してた。
合衆国は、ミリシャをつぶそうとしてる。だから、FBIがこの事件を仕組んで、ミリシャに罪を着せたの。
統一世界政府の新世界秩序は、この事件を最大限に活用して、彼らの計画をさらに進めることに成功したことを忘れないで。 B.L.
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いつもながら過去形で書かれているのが気になるが、その裏にはアメリカ合衆国憲法の一部が記されていた。
| アメリカ合衆国憲法修正箇条(Articles in Addition to, and Amendment
of, the Constitution of the United States of America)
修正第2条 規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。(1789.12.15.批准完了) |
「あー、また帰られへんようになってしもたで、これは。ミリシャって何や? FEMA(えふいーえむえー)って何や? もう、謎かけばっかりやな。何とかしてほしいわ」
純一の声は少々大きかったようで、隣の席の大学生のお兄さんにメガネの奥からギロリとにらまれてしまった。ちょっとおとなしく、英語の辞書のところに行く。ブリュンヒルデが綴りを書いてくれていなかったら、ちょっとわからないところだった。
| militia [名詞]1 在郷軍、市民軍(citizen
army)(軍籍にあり定期的に訓練を受けるが非常時だけ兵役に服するもの)。2(1)《英》国民軍(……略……)(2)《米》国民軍(18歳以上45歳未満の強壮な全男子市民から成る)
the organized militia 各州の国防軍=州軍(National Guard)
(New English-Japaneeese Dictionary KENKYUSHA)
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ミリシャ(Militia)というのは、平たく言えば民兵のことだ。これは日本ではちょっとわからない感覚かもしれないけれど、アメリカには合衆国の(つまり、連邦の)陸・海・空軍がある。ところが、それとは別に、市民が独自に武装していることもある。それがミリシャだ。
だから、ブリュンヒルデの手紙には合衆国修正箇条が書いてあったんだ。
「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」
認められている、どころか、「必要である」とまで言われている。そのミリシャが、いま、アメリカ連邦政府の目の敵にされているというのだ。
有名なミリシャには、モンタナ・ミリシャ、米国ミリシャ連合、ジョージア共和国ミリシャなどがある。これは、ほとんどの州にあるそうだ。そして、連邦政府より州ごとの権限を強めるよう、主張している。連邦政府にとっては、まさに目の上のこぶ、というわけ。また、国連や外国の影響を排除しろとか、銃規制の反対などを訴えている。
そして、彼らの自称は「愛国運動」だ。
「愛国」とは、この場合、「アメリカ合衆国」ではなくて、「各州」のことを指す。
「ということは、アメリカの権力を一手に握ってしまいたい連邦政府にとってはジャマ」
「ましてや、統一世界政府を狙ってる連中にとっては、まさに『あってはならないもの』っちゅーわけやな」
「で、そのミリシャをあっちこっちから攻撃してる、と」
「手紙にもあったよな。『FBI職員とATF(アルコール・タバコ・火器局)職員は全員無事だったということだ。連邦ビルには、連邦都市住宅局などさまざまな部局が入っていたが、FBIとATFの職員だけは当日その時間、オクラホマ・シティ連邦ビルにいなかった』って。これは絶対、臭い」
「ウェイコーでブランチ・デヴィディアンが抹殺処分されたときも、FBIとATFが襲撃してたんだよね」
「あ、こんな事件もあるで。92年8月、キリスト教の一派を信じるランディー・ウィーバーという人が、FBIとATFに襲撃されて、家族が撃ち殺されている。ルービー・リッジ事件か。こうなったらほとんどFBIとATFはテロ組織やな」
「穏やかでないな、純一、その言い方は。どこかで変な人が聞いて誤解するかもしれないぞ」
「それもそーやな。……で、これとFEMAってのがどう関係するんや?」
「ということは、次はFEMAの資料調べか」
僕たちは意外と図書館に長居することになってしまった。しかし、このFEMAという存在が何を意味するのかがわかったとき、僕たちは大変なことを知ってしまったことに気づいたのだった。